主な仕様 |
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THD+N |
0.005%(TYP.)20Hz~20kHz |
S/N |
105dB(TYP.)20Hz~20kHz、IHF-A |
周波数特性 |
10Hz~20kHz ±1dB(fs=44.1kHz/48kHz)10Hz~40kHz ±1dB |
サンプリング周波数 |
DSD:~5.6448MHz、PCM:~192kHz(USB入力)、PCM:~192kHz(S/PDIF出力) |
最大出力 |
85mW+85mW @32Ω |
電源 |
USBバスパワー(5V 最大500mA) |
消費電力 |
最大2.5W |
外形寸法 |
120(W)x150(D)x48(H)mm |
重量 |
530g |
サウンドカードの市場がUSB DACに食われてしまっている。一昔前と比べると、サウンドカードの商品数自体が明らかに少ない。メーカーもサウンドカードの性能の限界を感じて、新商品を出さないのだろうか?
サウンドカードを購入しようと思っていたが、衰退してしまったものを買うのもあれなので、ここは時代の波に乗ってUSB DACを買ってみた。国産メーカー、コルグのDS-DAC-10-SVだ。このUSB DACにはヘッドホンアンプの機能も付いている。
色はブラックとシルバーの2色がある。
メーカーとしてはあまり聞いたことがない。ネットの情報によると、楽器をメインに生産している会社とのこと。
シリーズとしてはDS-DAC-100がある。DS-DAC-10やフォステクスのHP-A4などと並んで購入対象だったが、発売当初で価格が高いことやDS-DAC-10と音質があまり変わらないこと、DS-DAC-10には付いているデジタル出力が、付いていないことなどの理由から却下した。また、形状も個人的にはDS-DAC-10の方が好みだ。
※コルグのUSB DACのDACチップは、いずれもCirrus Logic(シーラス・ロジック)のCS4398らしい。このチップはMarantz(マランツ)のHD-DAC1にも使われている。
購入動機は、パソコンの買い替えにより、オンキョーのサウンドカードのSE-200PCIが使えなくなったから。普通のPCIスロットがなくなってしまい、挿せなくなった。これはSE-200PCI(オンキョー)のレビューでも述べたとおりだ。
PCI Expressスロット仕様のサウンドカードを買い直すつもりでいたが、上述した理由とAmazon.co.jpのタイムセールで激安だったことも手伝って、DS-DAC-10-SVを買うことになった。
コンパクトなダンボールの外箱に本体、USBケーブル、取扱説明書(保証書)などが入っている。外箱の側面に【MADE IN JAPAN】の表記。コルグが日本のメーカーであることを再確認する。
USBケーブルはごく普通のもの。長さ1m、太さ約3mm。USBの規格はUSB2.0のタイプA-タイプB。
保証書はどこにあるのかと思ったら、取扱説明書と一体になっている。保証書の保証期間はメーカー保証が1ヶ年。
外観は全体的にかなり良い。価格の割には肉厚のある金属でしっかり作られている。材質は大半がアルミニウムか。エッジ部分の丸め方など細かい作りを見ても、とても丁寧で好感が持てる。
サイズは余計なものが付いていないシンプルな設計なので、据え置き型のUSB DACにしては非常にコンパクト。よって、どこにでも設置しやすくて良い。設置は基本的に横置きしかできないが、コンパクトなおかげであまり問題にはならないだろう。
デザインは好みの問題があるが、色使い含めなかなか良い。
正面のパネルにはヘッドホン出力端子、ヘッドホン・ボリューム、パワー・インジケーター、サンプリング周波数インジケーターがある。ヘッドホン出力端子は金メッキ処理されたもの。ヘッドホン・ボリュームはガタつきがなく、非常に滑らかに回るので操作しやすい。DS-DAC-10-SVで操作するのは、実質このヘッドホン・ボリュームだけになる。
背面のパネルにはデジタル出力端子、USB端子、アナログ出力端子がある。USB端子は給電用。DS-DAC-10は電源がUSBバスパワーのため、USBを通じてパソコン本体から給電される。巷でよく言われているが、電源としてはかなり心もとないところだ。デジタル出力端子は同軸仕様で、アナログ出力端子とも金メッキ処理されている。背面の端子類も必要最低限。
上面と側面には特に何もない。
下面にはコルク製のインシュレーターが装着されている。この面だけ材質は銅か。ノイズ除去を考慮していると思われるが、見た目にも高級感がありなかなか良い。
また、外観とは直接関係しないが、DSDファイル再生時の音声出力は、ヘッドホン出力とアナログ出力だけで、デジタル出力からは出力されないとのこと。
AudioGate 3(オーディオゲート・スリー)とは、DSDファイルや各種音楽ファイルのアップサンプリングにも対応した、コルグの音楽再生ソフトである。ソフト単体の価格はなんと税込19,980円!DS-DACシリーズを購入すると、このソフトのフルバージョン(DSDファイルのアップサンプリングにも対応)が、無償で使えるのでかなりお得だ。
※DSDとは、スーパーオーディオCD(SACD)に用いられている記録方式である。
AudioGate 3のダウンロードは、コルグのホームページから行えるので、ドライバーとあわせてダウンロードする。そして、これらをインストールしてから、パソコンにDS-DAC-10-SVを接続する流れになる。DS-DAC-10を接続することが、フルバージョンを使えるかどうかのアクティベーション(ライセンス認証)になっているようだ。
この後の設定や使い方の詳細は、取り上げると切りがないので、同社のホームページのマニュアルに任せることにする。
※接続はUSB3.0ではなく、USB2.0が推奨されている。
AudioGate 3を使った感想は音質は良いが、インターフェースのデザインの自由度が低い、曲の管理がやりにくいという印象。
インターフェースのデザインは、私がそれまで使っていたWinampのスキンのような概念がないため、背景程度しか変更できない。曲の管理はアーティストやアルバムごとに階層化できない。インターフェースのデザインはまだ妥協できるが、曲の管理は曲数が増えるほどやりにくくなるのでこれは困る。
だから、現在私はよく聴く曲数の多いジャンル(ポップスとロック)はfoobar2000、あまり聴かない曲数の少ないジャンル(クラシックとジャズ)はAudioGate 3という具合に使い分けている。これらのソフトの音質差は、同条件ではほとんどないので、特に気にならない。
※Winamp、foobar2000とは無料の音楽再生ソフトである。
さて、最後に売りのDSD再生とアップサンプリング再生だが、私は今のところ進んで使うつもりはない。
なぜなら、これらで音質がよくなるかどうかは、結局は元の音源の質によるところが大きいからだ。質の良い音源とは例えば、DSD音源やハイレゾ音源のことである。こういった音源は、もちろん総じて価格が高いわけでとてもメインには使えない。やはり私の環境では引き続き、普通のCDのMP3音源が、メインになりそうである。
環境:ヘッドホン出力→HD595(SENNHEISER)
音質はオンキョーのサウンドカードのSE-200PCIよりやや上。クリア感はあまり変わらないが、音の分離や緻密さで上回っているし、SE-200PCIに見られた低音のボワつきもない。
ただし、音の力強さや広がり、響きがややなくなり、平面的な鳴り方になったようにも聴こえる。この辺りは低音の質が関係するのか。例えるなら、SE-200PCIはオーディオ的な音。DS-DAC-10-SVはモニター的な音。どちらが良いかは聴く人の好みの問題が大きそう。
環境:アナログ出力→MiniAMP Amp800(BEHRINGER)→HD595(SENNHEISER)
音質や音の傾向はヘッドホン出力とほとんど変わらないが、アナログ出力の方が音に力強さを感じる。BEHRINGER(ベリンガー)のMiniAMP Amp800を接続していることを考えると、こちらの方が音質は上かもしれない。今はMiniAMP Amp800しか持っていないので何とも言えないが、それなりの機器を接続すると、一気に音質がアップしそう。
オーディオ的な音が好みなら、真空管アンプなどを接続すると良いだろう。
※上記のレビューでは、DSD再生やアップサンプリング再生などは行っていない。
コルグのDS-DAC-10-SVは価格を考えると、総合的にかなりよくできたUSB DAC(ヘッドホンアンプ)といえるだろう。高価な音楽再生ソフトのAudioGate 3が、無償で使えるのもうれしい。USB DACの入門機としておすすめできる一台だ。
ただし、音は好き嫌いがありそうなので、その辺が気になる人は一度試聴してから購入した方が良い。
作り | デザイン | 音質 | 楽しさ |
---|---|---|---|
4.5 | 3.5 | 4 | 3 |
○メーカーホームページ:コルグ
定価 | 購入日 | 購入店 | 状態 | 購入価格 |
---|---|---|---|---|
オープン | 2015/06/24 | Amazon.co.jp | 新品 | 22,800円 |
私の購入記録は上記のとおり。タイムセールの数量限定品。クレジットカード払いだったので、代引き手数料などはかからなかった。現在、Amazon.co.jpは全品送料無料だから、ポイントを408ポイント使用したことをあわせて実質22,392円。購入特典として、19,980円のAudioGate 3のフルバージョンが、無償で使えることを考えると、これはもうボーナス価格だね。
最安値は私の知る限りではAmazon.co.jpの新品21,800円。これもタイムセールで付けた値段だ。
※商品価格はいずれも税込表示。
直接パソコンからUSBバスパワーで接続していると、KORG DS-DAC-10 Control Panelの設定が、勝手にリセットされたり、動作が不安定になったりすることがあった。
これは不便なので、今はセルフパワーのUSBハブ(エレコムのU2H-H4SSV)に接続している。こうすることで、DS-DAC-10-SVの電源が常時点きっ放しになるデメリットがあるが、上述した症状は改善される。音質もやや上がったか。
追記:AudioGate 3には、デフォルトでASIO(アシオ)とWASAPI(ワサピ)がインストールされている。よって、使い方は、Menu>編集>環境設定>オーディオ・デバイスから設定するだけである。
追記:AudioGate 4のダウンロードが開始された。AudioGate 3のライセンスコードで、AudioGate 4のフルバージョンが無償で使える。AudioGate 4をインストールすると、AudioGate 3のライセンスを引き継ぐ仕組みだ。
追記:DS-DAC-10シリーズは生産終了。後継機種は前述したDS-DAC-100ということになるようだ。
追記:付属のUSBケーブルを協和ハーモネットのUSBケーブルに交換してみた。詳細は高音質で安い?協和ハーモネットのUSBケーブルの評価に記載。
追記:私のPC環境に原因があると思うが、YouTubeなどの動画サイトを試聴していると、音割れが発生することがある。音割れは、KORG DS-DAC-10 Control Panelのバッファーサイズを大きくすることと、ブラウザをInternet Explorer 11からGoogle Chromeにすることで、かなり改善したようだ。