PCオーディオ用のラインケーブルは、PCとオーディオ機器との距離に応じて市販品を取り換えてきたが、今回は音質の向上を計ってRCAピンプラグのラインケーブルを自作してみた。自作したGX-77M用のスピーカーケーブルが、思いのほかよかったので味をしめた形だ。
今まで使ってきた市販のラインケーブルも決して悪いものではないから、GX-77M用のスピーカーケーブルほど音質の向上を見込めないと思うが、はたしてどうか?
※このレビューはかなり年月が経ってから書いているので、購入した商品が新品に見えない。特にRCAピンプラグはかなりくすんでしまっている。このRCAピンプラグがピカッと光ってかっこいいのは最初だけだ。
ケーブルはベルデンの8412。ケーブルを最低でも数セット(2本1組)作成することを考えて、長めの10m分をサウンドハウスで購入した。1m当たり400円程度の安価なケーブルだが、ネット上では定番のケーブルとなっている。このケーブルは構造が2芯なので、自作も比較的簡単にできるようだ。
ケーブルの中には4芯のノイズ耐性をさらに高めたものもあるが、何より自作が面倒くさそうなのと、家庭で使う短いケーブルなら2芯の方が良いとのことなのでこれにした。ただし、このケーブルはかなり太いため、取り回しが悪い。
※ケーブルは環境に合わせて、適度な長さで使うことになる。同じ長さのものを2本用意しておこう。私はとりあえず1mにした。
RCAピンプラグはノイトリックのNYS352G。10個1セットになっているものをケイズ・サウンド・クリエイト(楽天市場)の閉店セールで買った。これも1個当たり200円程度と安価だが、きっちり金メッキされているし、定番のRCAピンプラグらしいのでこれにした。
ただし、このRCAピンプラグは、外装のケースにホワイトやレッドのラインが入れられていないため、左右の判別がしにくい。
はんだこては太洋電機産業のKS-30(30W)。昔、ホームセンターで買った普通のはんだこてだ。GX-77M用のスピーカーケーブルを自作した時と同じく、それほど細かい作業ではないので、これで大丈夫だろう。
はんだは太洋電機産業のSD-32(直径1.2mm)。GX-77M用のスピーカーケーブルを自作する時に買ったものだ。音質的には無鉛銀はんだの方が良いと思うが、無鉛銀はんだはヤニの量が少なくてはんだ付けしにくいのでこれにした。
ラジオペンチとニッパーは家にあった小型のものを用意した。このケーブルは太いので、もっと大型のものが良いかもしれない。
※結局、購入したものはケーブルとRCAピンプラグのみだったが、ケーブルを長めに買ったことが響いて、価格はしめて6,000円にもなった。
さて、まずはGX-77M用のスピーカーケーブルを自作した時と同じように、ケーブルのシース(被覆)をはがす作業になる。
ベルデン 8412のシースは硬くないので、はがすのはそれほど難しくない。しかし、スピーカーケーブル(ベルデン 8470)とは違って、シールドが何重にもなっているから、取り扱うのが面倒くさそう。これらのシールドと白と黒の線は、一体どうすれば良いのだろうか?
ネットの情報によると、ベルデン 8412のような指向性のある(ケーブルにメーカー名と型番がプリントされている)ケーブルは、以下の方法が一番スタンダードになるようだ。
※白の線がコールド、黒の線がホット、シールド線がグランドなど専門的な呼び方があるようだが、ここでは意識しないでおく。
※この方法がベストかどうかはわからない。ネットの情報ではこの方法が一番スタンダードなので、私はこの方法でやるというだけである。理論的には一応ベストの方法のようだが、こんなややこしいことをしても、音質的に全く変わらない可能性もある。オーディオにはオカルト的な要素が多いからだ。
では、まずは音源側(メーカー名がプリントされている方)のシールドを処理する。音源側は、上述したように白と黒の線とシールド線(網目のシールド)を残して、それ以外は切断する。ニッパーを使って綺麗に取り除こう。その後、白と黒の線のシースもはがして、シールド線は右の画像のようにねじっておく。
次にアンプ側(型番がプリントされている方)のシールドを処理する。アンプ側は白と黒の線のみを残して、それ以外は切断する。こちらもニッパーを使って綺麗に取り除く。その後、白と黒の線のシースもはがそう。
白と黒の線やシールド線の長さは、はんだ付けする際に適度に調節すれば良いだろう。
さて、次の工程もGX-77M用のスピーカーケーブルを自作した時と同じく、RCAピンプラグとケーブルをはんだ付けする作業になる。
音源側は+(プラス)の端子に当たる中央の突起に白の線、-(マイナス)の端子に当たる、右端の後ろまで伸びている金具に黒の線とシールド線をはんだ付けする。スピーカーケーブルを自作した時と違って、シールド線を一緒にはんだ付けしなければならないので、はんだ付けがかなりやりにくい。
私はケーブルの抜き差しではんだが取れては困るから、たっぷりはんだ付けしたが、あまりはんだをたくさん付けると、見た目が悪くなる。それに、最悪の場合、外装のケースが閉まらなくなる可能性があるので注意が必要。
アンプ側は中央の突起(プラス)に白の線、右端の後ろまで伸びている金具(マイナス)に黒の線をはんだ付けする。こちらは、スピーカーケーブルを自作した時と同じように簡単にはんだ付けできる。
はんだ付けが終わったら、音源側もアンプ側も透明の保護カバーと外装のケースを付けて完了になる。
ケーブルは2本あるので、もう1本同じ要領で作成しよう。
では、いよいよ音出しだ。PC上のいつもの環境で音楽を流してみる。音質は予想したように市販のラインケーブルとあまり変わらない。よく言えば、音が太くなって、低音が効いているかなという程度。まあ、プラシーボだろうね。
RCAピンプラグのラインケーブルを自作するのは、手間とお金がかかるし、取り回しが悪くなる上に音質もあまり変わらないので、無理に自作する必要はない。ただし、ベルデン 8412で専門的なラインケーブルを自作したという満足感は、結構大きいから、自作したい人はしてみたら良いと思う。
ノイトリックのNYS352Gは2009年から生産国が中国になり、外装ケースの刻印も【NEUTRIK】→【REAN】に変更されているようだ。REAN(リアン)とはノイトリックのブランド名である。