HP-M1000(ビクター)のレビュー

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HP-M1000の画像

主な仕様
型式
密閉ダイナミック型
ドライバー直径
50mm
周波数帯域
5~29,000Hz
最大許容入力
1,500mW
インピーダンス
60Ω
感度
105db
質量
約300g
プラグ
ステレオミニ(24金メッキ)
コード
3m OFC(カール)(片出し)

今まで私が購入したヘッドホンの中で、一番はまったものをレビューする。国産メーカー、ビクターのHP-M1000だ。

オーディオメーカーとしてビクターと聞くと、どうもマイナーどころのイメージがある。現に私も過去にこのメーカーの製品を購入したことがない。ヘッドホンなんてなおさらだ。

ビクターは数々のヘッドホンとイヤホンを販売しているが、HP-M1000はその中のひとつ。シリーズとしては下位機種にHP-M330、HP-M440、HP-M770がある。

購入動機は何気なく。でなければ、ビクターのヘッドホンは買わなかっただろう。何気なく低音の出るヘッドホンを探していて、偶然安くなっていたので買ったという感じだ。音を聴いてびっくりさせられることになるが、この時点ではまだ知る由もない。

コンパクトな外箱に本体、カールコード、変換プラグ(ステレオミニ→ステレオ標準)、保証書が入っている。

※カールコードの詳細は外観の項目参照。

変換プラグは金メッキ処理されているごく普通のもの。

保証書の保証期間はメーカー保証が1年間。他のメーカーと一緒。

外観

全体的に普通。プラスチックの部分が多いが、裏側の20本ものビスのおかげでしっかり作っている感はある。プラスチックも基本的には半光沢仕上げで、価格なりの質感はあるといって良いだろう。【MADE IN JAPAN】の凸文字や左右を表す点字が施されており、何だかいろんな意味でホッとさせられる。

デザインは好みの問題があるが、色使い含め普通か。ソニーのMDR-Z700DJにかなり似ている。ビクターのホームページではモニターヘッドホンとなっているが、どう見てもDJヘッドホン。

ハウジングは、【Victor】のロゴがプリントされたパーツだけ輝きが違う。金属製パーツに銀色塗装しているものと思われるが、やや塗装がはがれやすそう。貴重なアクセントにはなっている。ハウジング自体は防振機構を備えており、エラストマーという聞き慣れない材質が使われているらしい。

また、この機種最大の特徴として、コードの差し込み口が左右のハウジングにある。ビクターはこれをデュアルコネクション方式と呼んでいて世界初のようだ。でも、この機能、私はほとんど使っていない・・・。

ヘッドバンドはパッドが付いておらず、人工皮革のようなもので保護されているだけ。縫い込みは普通。装着感がやや心配か。

調節機構は1目盛りずつきちんとロックがかかるタイプで、調節幅が簡単に変わることはない。目盛りは全部で10目盛りある。

イヤーパッドはシワシワの人工皮革にしてはやや硬い。しかし、肌触りは悪いということはない。付いた油分は目立つので気になるが、案外取りやすい。また、ドライバー部分を覆うスポンジだが、ピタッと収まらずやや膨らんでいるのが気になる。個体差か。アイワのHP-X122でもこんなことはないので残念。

コードは片出し。本体側で着脱可能なカールコード。本体側のプラグ(ステレオ超ミニ)も金メッキ処理されている。コードの装着は、本体側の▽とコード側の縦線を合わせる形で差し込んで、時計回りに回す。これでロックがかかり抜けなくなる。着脱する際は反対のことをすれば良い。コードの長さは3m、太さは約4mm。硬くも柔らかくもなく、特に扱いづらさは感じない。

プラグはステレオミニプラグ。金メッキ処理された標準的なもの。付属の変換プラグでステレオ標準プラグに変換できる。ねじ込み式。

また、外観とは直接関係しないが、ハウジングを反転させて片耳モニターできる上、折りたためる。

装着感

良くも悪くもない。イヤーパッドはシワシワの人工皮革にしては硬く、側圧もやや強い。重量は軽くも重くもなく、頭頂部は大して気にならない。

ハウジングの角度調節は上下左右にできる。イヤーパッドは耳全体を覆うが、耳の上に乗ってきて、やや痛い。密閉ヘッドホン特有の蒸れやすさはある。遮音性、音漏れ防止は側圧が強いおかげで良い。

また、装着感とは直接関係しないが、装着する際にヘッドバンドから「ギシギシ」と盛大に音がするのが気になる。

環境:SE-200PCI(オンキョー)の2ch専用ライン出力→MiniAMP Amp800(BEHRINGER)

音の傾向はややドンシャリ(高音・低音強調型)。音自体は太すぎず、細すぎずちょうど良い。高音の量は適度。低音の量は多いのだが、それほど支配的にはならない癖になる低音。量と締まりのバランスが絶妙で深さもある。こもりはほとんど気にならない。明るい音調で、声などの中音は他の音に埋もれずはっきり聴こえてくる。

音場は耳に近いところで音が鳴るのが気になるが、左右の広がりは思った以上にある。また、空間にSENNHEISER(ゼンハイザー)のようなごく薄いもやを感じる。作為的なのかどうかはわからない。このもやと低音がはまる要因のような気がする。

基本性能、原音忠実性、質感、厚みはすべて価格なりか。

基本性能は分解能という面では価格より若干悪いぐらいだが、解像度という面ではメリハリある音がプラスに働くし、分解能の悪さをあまり感じさせない。原音忠実性も、明るすぎるともいえる音調と繊細さが足らないことがマイナスだが、特別気になる音はない。質感も大してよくはないが、粗や歪みがそれほど醜いわけではないし、艶やかさも最低限は感じられる。厚みも普通にはあるし、どれも価格なりとはいえるだろう。

鮮やかさ、ノリ、打ち込み表現は価格以上の価値がある。特にノリ、打ち込み表現はかなり良い。明るい音調と低音が合う。楽器は明るい音調でピアノがやや不自然。

合う曲のジャンルはポップス、ロック。意外にバランスの良い機種だし、コストパフォーマンスも良い。ただし、モニターヘッドホンとしては使えないと思う。

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まとめ

HP-M1000の画像2

とりわけ思い入れもなく、安価に購入したことが理由で感動が大きいのかもしれないが、HP-M1000は私が今までで一番はまったヘッドホンであり、一番レビューしたかったヘッドホンだ。

何を聴いても楽しく、ノリよく、正に「音楽」を聴いているといえる。その上、バランス、コストパフォーマンスとも良い。パソコンから圧縮音源でポップス、ロックメインに聴くならこの機種で良いのではないかと思うほど。

普段聴く音楽に合うかどうかは問題だが、合えば耳から鱗が落ちることになると思う。耳から鱗が落ちるなんていわないが、その表現がぴったりだ。

作り デザイン 装着感 遮音性 音漏れ防止
3 3.5 3 4 4
携帯性 音質 楽しさ
2.5 3 5

○メーカーホームページ:ビクター

HP-M1000の購入記録と最安値

定価 購入日 購入店 状態 購入価格
15,750円 2008/04/13 じゃんぱら 未使用 6,480円

私の購入記録は上記のとおり。2台限りだった。代引きで買ったので送料1,050円、代引き手数料525円をプラスし、実質8,055円。送料が若干高いのは残念だが、それでも十分安い。未使用という状態がよくわからなかったので伺ったところ、この店ではメーカーから直接仕入れたものを新品、個人の客から買い取ったものを未使用品と区分しているらしい。よって、実質新品。

最安値は私の知る限りではじゃんぱらの未使用6,480円。ただし、数量限定でいつでも在庫があるわけではない。他の店では相場は11,000円ぐらいか。

追記:2013年1月現在の最安値は、私の知る限りではノジマオンラインの新品4,980円。生産終了後の在庫特価なので、すぐに売り切れてしまっただろう。

※商品価格はいずれも税込表示。

その後

HP-M1000は生産終了。後継機種は残念ながら出ていない。

追記:4年ほど経過した頃から、ヘッドバンドに小さな裂け目が現れ始めた。ヘッドバンドの劣化と着脱の負担によるものだと思うが、いくら何でも早すぎないか(泣)。日本製ということで耐久性には期待していたのにがっかり。ヘッドバンドだけ交換できるのかな?

追記:6年ほど経過した頃に、ドライバー部分を覆うスポンジが経年劣化でボロボロになった。

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