DJ1 PRO(ULTRASONE)のレビュー

  1. PCで快適!音楽生活 >
  2. ヘッドホン >
  3. DJ1 PRO(ULTRASONE)

DJ1 PROの画像

主な仕様
型式
密閉ダイナミック型
ドライバー直径
50mm
周波数帯域
10~22,000Hz
最大許容入力
インピーダンス
64Ω
感度
102db
質量
約295g
プラグ
ステレオ標準(金メッキ)
コード
3.0m(カール)、0.8m(ストレート)(片出し)

某女優が薬物で逮捕される前に、クラブで使っていたことでも話題になったヘッドホン。ドイツの新興オーディオメーカー、ULTRASONE(ウルトラゾーン)のDJ1 PROである。このヘッドホンは本来は名前のとおり、プロのDJが使うためのものだが、もちろん一般人が音楽鑑賞などにも使える。

シリーズとしては下位機種にDJ1というモデルがあるようだ。

購入動機は、まず第一にDJ1 PROがヘッドホンマニアの間でもテンションの高い、面白いヘッドホンとして有名だから。そして、第二にこのヘッドホンにも使われているULTRASONE独自の技術(S-LOGICとULE)に興味があったから。私もいつか購入してやろうと機会を伺っていたところ、マイナーチェンジするタイミングで、型落ち品が安くなったので買った。

※S-LOGICとは簡単に言えば、ULTRASONE独自の音場を作り出す技術で、ULEとは電磁波を遮断するための技術である。

DJ1 PROは一度はまると癖になるヘッドホンらしいので、商品が到着するまで期待して待った。ビクターのHP-M1000よりはまるヘッドホンなのだろうか?注文してから3日ほどで商品が到着したので、早速レビューに移る。

程々の大きさのしっかりした外箱に、まず箱いっぱいのキャリングケースが入っていて、その中に本体、交換イヤーパッド(1ペア)、カールコード、ストレートコード、デモンストレーションCDなどが入っている。私が今まで購入した耳覆い型のヘッドホンの中では、一番付属品が豪華だ。

※カールコード、ストレートコードの詳細は外観の項目参照。

交換イヤーパッドは、本体の下に隠れるように入っているので、どこにあるのかややわかりにくい。交換イヤーパッドの外観は本体に装着されているものと同じ。

キャリングケースは、耳覆い型のヘッドホンが入っているので当然大きい。内部には、イヤホンのキャリングケースと同じようにネットが仕込まれている。表面の材質はポリエステルのようだ。スーツケースやリュックサックなどによくある、ざらついた質感になっている。

デモンストレーションCDには、DJ1 PROで聴くのに最適な音源が入っているとのこと。私はたぶん聴かないだろう。

保証書の保証期間は、株式会社タイムロード(ウルトラゾーン日本総代理店)の保証が2年。私が購入した店では、ウルトラゾーンのヘッドホンは代理店を介しているので、代理店の保証が付くようだ。他の店でも同じ対応になるのだろうか?

外観

全体的に良くも悪くもない。色がホワイトとブラックのツートンになっているからか、特別安っぽくは見えない。材質はほぼ全てプラスチック。ハウジングもプラスチック製のようだが、ホワイトの部分はややゴムっぽい質感になっている。よって、色と相まってすぐに汚れそう。プラスチックのパーツは、てかりのあるパーツとないパーツが混在する。

デザインは好みの問題があるが、色使い含め普通。

調節機構は1目盛りずつきちんとロックがかかるタイプで、調節幅が簡単に変わることはない。目盛りは全部で12目盛りある。

ヘッドバンドもプラスチック製。パッドは柔らかくて触り心地が良いが、あまり大きくない。ヘッドバンド上面には、【ULTRASONE DJ1 PRO】や【S-LOGIC】の文字がプリントされている。また、画像では確認できないが、ヘッドバンド下面端の【MADE IN TAIWAN】とプリントされた、ごく小さなシールからこのヘッドホンは台湾製ということがわかる。

コードは片出し。本体側で着脱可能。このヘッドホンには上述したように、カールコード(3.0m)とストレートコード(0.8m)が付属しているので、環境によって好きな方を選べば良い。私は常時長さの調節しやすいカールコードを使っている。

コードの太さはカールコード、ストレートコードとも約4mm。硬くも柔らかくもなく、特に扱いづらさは感じない。どちらのコードも、本体側のプラグ(ステレオミニ)は金メッキ処理されていて、コードの装着はねじ込み式になっている。

プラグはカールコードがステレオ標準プラグ、ストレートコードがステレオミニプラグ。どちらのプラグも金メッキ処理されている。

イヤーパッドは柔らかいシワシワの人工皮革。肌触りはなかなか良い。ただし、付いた油分は目立つので気になるし、若干取れにくい。普通のヘッドホンは、プロテクタ(ドライバーの覆い)の穴が中心にあるが、このヘッドホンは端に寄っている。ULTRASONE独自の技術のS-LOGICに関係があるのだろうか?

また、外観とは直接関係しないが、右の画像のように折りたたむことも可能。

装着感

なかなか良い。程々の側圧と重量が装着感に貢献している。ただし、ヘッドバンドのパッドが小さくて薄いので、頭頂部にやや負担がかかる。

ハウジングの角度調節は上下左右にできる。イヤーパッドは耳全体を覆い、耳の上に乗ってくるが、イヤーパッドが柔らかいので痛くはない。密閉ヘッドホン特有の蒸れやすさはある。遮音性、音漏れ防止は側圧が強くない割に良い。

環境:SE-200PCI(オンキョー)の2ch専用ライン出力→MiniAMP Amp800(BEHRINGER)

音の傾向はやや高音よりのドンシャリ(高音・低音強調型)か。音自体は太すぎず、細すぎずちょうど良い。高音の量はやや多め。低音の量はDJヘッドホンにしてはやや少ないが、非常に締まりのある低音を鳴らす。こもりはほとんど気にならない。非常に明るい音調で、声などの中音は他の音に埋もれずはっきり聴こえてくる。

音場はこれがS-LOGICの特性かもしれないが独特。密閉型にもかかわらず、まるで開放型のような臨場感があり、左右にはかなり広い。ただ、あまり立体感を感じるような鳴り方ではない。

また、このヘッドホンは装着の仕方で音場が若干変わるのも特徴。S-LOGICの特性を活かすには、上述した端に寄っているプロテクタ(ドライバーの覆い)の穴を遠ざける、つまり、ハウジングを前方にずらして装着するのが一般的のようだ。逆に後方にずらして装着すると、臨場感がやや薄れた音場になる。

基本性能は価格より良い。原音忠実性は価格より悪い。まあ、これは最初からあまり考慮されていないのだろう。原音忠実より楽しんで聴くことに注力されている。質感は価格なりか。音がやや軽いことが影響しているのかあまりよく感じない。繊細さや艶やかさ、温かみもそれなり。厚みは十分ある。やや少ない低音を厚みでカバーしている感じ。

鮮やかさ、ノリ、打ち込み表現はどれも価格以上の価値がある。というか、これ以上はなかなかないレベル。豊かな高音や明るい音調、スピード感のある音がこれらの要素を底上げしている。ただし、打ち込み表現は低音がやや少ないと感じるかもしれない。楽器は明るい音調でピアノがやや不自然。

合う曲のジャンルはポップス、ロック。ノリの良い曲にはもってこいの機種だし、コストパフォーマンスも良い。問題は、低音の量感と原音とは違う音をどう取るか。

また、音とは直接関係しないが、電磁波を遮断するというULEの効果は当然わからない。電化製品に付いているマイナスイオンなどと同じで、効果があると信じるしかない。

あわせて読みたい

まとめ

DJ1 PROの画像2

ULTRASONEのDJ1 PROは、価格の割に付属品が豊富でお得感があるし、作りや装着感も良い。音も噂どおりテンションが高くて面白い。

ただし、低音の量がDJヘッドホンにしてはやや少なく、音も原音とはかけ離れている。このヘッドホンを購入しようと思っている人は、これらの点に注意して買った方が良いだろう。

普段聴く音楽に合えば、楽しくてはまるヘッドホン。ビクターのHP-M1000に勝るとも劣らないレベルだ。

作り デザイン 装着感 遮音性 音漏れ防止
3.5 3 3.5 4 4
携帯性 音質 楽しさ
2.5 3.5 5

○メーカーホームページ:ULTRASONE

DJ1 PROの購入記録と最安値

定価 購入日 購入店 状態 購入価格
31,500円 2013/04/27 Rock oN Campany(Amazon) 新品 12,800円

私の購入記録は上記のとおり。クレジットカード払いだったので、代引き手数料などはかからなかった。おまけにRock oN Campany(Amazonマーケットプレイス)は送料も無料。

上述したように型落ち品だが、かなり安く買えた。このヘッドホンは付属品がたくさん付いているので、本体だけなら1万円にもならない計算だろう。新製品でもほとんど仕様が変わらないものは、型落ち品を買うのが良い。

最安値は、私の知る限りではRock oN Campany(Amazonマーケットプレイス)の新品12,800円。

※商品価格はいずれも税込表示。

その後

DJ1 PROの白いハウジングは予想どおりすぐに汚れた。しかも、ゴムっぽい質感のせいで付いた汚れがなかなか取れない。

追記:DJ1 PROは生産終了。後継機種は残念ながら出ていない。

追記:3年ほど経過した頃から、ハウジングがベタつき始めた。白い部分のゴムっぽい質感を生み出していたコートが、経年劣化したためと思われるが、なんと現在このコートは爪で引っかくだけであっさりはがれる。よって、プリンのプラスチックのスプーンを使ってこのコートを全てはがした。その後、シリコンスプレーを吹き付けると、ベタつきがかなりましになった。

追記:5年ほど経過した頃に、ヘッドバンドのパッドの空気が、経年劣化で抜けた。

関連するページ


PCで快適!音楽生活 - PCオーディオ・ヘッドホンのレビューサイト