主な仕様 |
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型式 |
開放ダイナミック型 |
ドライバー直径 |
40mm |
周波数帯域 |
10~39,800Hz |
最大許容入力 |
200mW |
インピーダンス |
62Ω |
感度 |
93db |
質量 |
約235g(コード除く) |
プラグ |
ステレオ標準(金メッキ) |
コード |
3.0m(片出し) |
価格破壊ヘッドホン。オーストリアのメーカー、AKG(アーカーゲー)のK701を購入したので、ぜひともレビューしたい。一昔前のAKGの最上位機種である。確か発売当初の価格は5万円以上していたと思うが、現在は中国製になったこともあって1万5千円ほど。
これ以上コストパフォーマンスの良い機種はまずないし、とっくに生産終了していて市場から消えそうなので、今のうちに捕獲しておいた。
このヘッドホンは「けいおん!」というアニメで有名になったらしいが、私はこの系統のアニメをあまり見ないからその経緯は知らない。AKGのヘッドホンを購入するのも今回が初めてである。
まあ、最近歳を取ったせいかJ-POPやアニソン、ゲーム音楽ばかり聴いているのが恥ずかしくなってきたので、高貴な意識の高いクラシックやジャズをもっと聴こうと思っていた。よって、クラシックに定評のあるAKGのヘッドホンは、タイミング的にもちょうど良い。
シリーズとしては上位機種にK8**、下位機種にK6**があるようだが、正直どれが一連のシリーズなのかよくわからない。
実はK702というK701の後継機種もあって選択に迷ったけど、私は以下の理由からK701を購入した。
K702は色が黒っぽくてコードが着脱できるのが良いところである。ただ、K701より価格がやや高いのに、ヘッドホンスタンドが付いておらず、コードが3芯だ。クラシックとポップスに合うという評判はどちらも同じだが。さあ、レビューに移ろう。
しっかりした高級そうな外箱に本体、変換プラグ(ステレオ標準→ステレオミニ)、ヘッドホンスタンド、仕様書などが入っている。サウンドハウスで購入したので、サウンドハウスの保証書が商品に添えられているのは今までどおり。ただ、外箱の内側と内容物に得体の知れない黒い粉が付いているのが気になる。おい、もっとちゃんと管理してくれ中国人。これは嫌な予感がする。
変換プラグは全体的に金メッキ処理されていて高級感がある。
ヘッドホンスタンドはヘッドホンを置くだけの簡易的なもの。銀色塗装のケースに黒い硬めのスポンジがはめ込まれた作りになっているが、ここで嫌な予感が的中する。【AKG】の文字がある面に最初から塗装はげがあるのだ(泣)。塗装はげ自体は小さいが、結構目立つ場所にあるからテンションが下がる。商品の交換も考えたけど、本体は何事もないようなので、これで妥協することにした。
保証書の保証期間はサウンドハウス保証が3年間。直輸入品ではない海外の商品には、基本的に国内輸入代理店(サウンドハウス)の保証が付く。過去、サウンドハウスの保証期間は1年間だったが、現在は3年間に延長されているのでより安心だ。
全体的に普通か。元最上位機種だからといって、特に作りが良いわけではない。材質は大体のパーツがプラスチック。ハウジングの網目状のパーツも塗装されていてわかりにくいが、どうもプラスチック製のようだ。色はすぐに汚れそうな白だけど、白いパーツには透明なコートが丁寧に施されているので案外汚れなさそう。
ハウジングには【Reference Headphones K701】の文字がある。オーストリア製と中国製ではこの文字の書体が違うらしい。また、オーストリア製には【Made in Austria】の文字も表記されているとのこと。
デザインは好みの問題があるが、色使い含め極上。白を基調にして巧みに色分けされており、非常にしゃれている。どこかアップルの製品に近い感じがする。
ヘッドバンドは調節機構を備えたタイプのもの。調節機構の動き自体は滑らかで問題ないが、作りは黒い細いゴム?でできていてやや心配。使っているうちに切れてしまわないだろうか?
ヘッドバンドの裏面には、オーストリア製では滑り止めのコブ(凹凸)があったらしいが、中国製ではなくなっている。これによって装着感が改善されているようだ。また、表面の【AKG】の凹文字も、ハウジングの文字と同じようにオーストリア製と中国製では書体が違うとのこと。
イヤーパッドはベロア調のフカフカした布製で柔らかい。肌触りはなかなか良い。付いた油分やほこりは目立たないので気にならないが、イヤーパッドがベロア製でこの色だと、段々汚れそうな気がする。
コードは片出し。長さ約3m、太さ約4mm。コード自体はやや柔らかくて扱いやすい。最近のヘッドホンはコードが着脱できる機種も多いが、このヘッドホンはできない。
プラグはステレオ標準プラグ。元最上位機種なので、当然金メッキ処理されている。付属の変換プラグでステレオミニプラグに変換できる。
普通に良い。オーストリア製にはあったヘッドバンドのコブが中国製ではなくなり、装着感は改善していると思う。ただ、それでも頭頂部の負担はややある。側圧は適度で重量は軽め。
ハウジングの角度調節は上下左右にできる。イヤーパッドは耳全体を覆い、耳の上に乗ってくるが、イヤーパッドがベロア調でフカフカしているので痛くはない。開放型なので遮音性、音漏れ防止はないに等しい。
環境:DS-DAC-10-SV(コルグ)のヘッドホン出力
音の傾向は概ねフラット。音自体はやや細め。高音、低音とも量は適度だが、音の線が細いからか高音の方がやや目立つ。高音は評判どおりよく伸びて綺麗。低音はスカスカにならない絶妙なバランスで、良くも悪くも開放型らしい。こもりはほとんど感じない。声などの中音は若干遠目から聴こえるが、他の音に埋もれずはっきり聴こえてくる。
音場は価格の割に非常に良い。40mmのドライバーでこれほど広い音場が作れるのかと思うほど。全ての音が若干遠目から聴こえるが、それは私が今まで購入したヘッドホンがポップスとロックに定評のある機種ばかりで、音が近かったせいだろう。
ただし、空間表現は個人的にはSENNHEISER(ゼンハイザー)のHD595の方が高級感があって好み。K701の空間表現は良く言えば、広くてわかりやすいが、悪く言えば、全ての音が同じ距離間で聴こえてくるようであまり高級感がない。音の抜けは低音が控えめの開放型らしく良い。
基本性能、質感は価格の割に非常に良い。特に基本性能は元最上位機種で高いものを持っている上に、音の線が細くて分解能という面でも有利に働くのでなおさらよく感じる。質感も音の線が細く、高音が伸びる割には刺さるような音がなくて非常に滑らか。繊細さ、艶やかさとも十分。温かみはそれなり。
原音忠実性は極めてフラットな特性で音に変な着色がないので、これも価格以上の価値があるといえるだろう。鮮やかさは音調がそれほど明るくないのに、よく伸びる高音と基本性能の高さからかなかなか鮮やか。
厚み、ノリ、打ち込み表現はそれなりか。基本的に控えめの低音による大人しい鳴らし方なので、どれも最低限に感じる。楽器は特に苦手といったものはない。また、クラシック音楽によくある弦楽器と管楽器は、繊細でかなり良いが、力強さにはやや欠ける。特に管楽器はもう少し力強さが欲しいところ。
合う曲のジャンルはクラシックとポップス、それも静かな曲。迫力のいるような大編成のクラシック曲や、打ち込みの多いヒップホップなどのポップス曲には、上記が理由であまり合わない。合うのはクラシックならピアノやフルート、弦楽器中心の曲、ポップスなら主にボーカル中心の曲か。音場が広くて優しい音で聴きやすいので、長時間BGMを流すのにも向いているだろう。現在の価格を考えると、コストパフォーマンスは最高というほかない。
また、音量は感度が低いためかやや取りづらい。
AKGのK701は、作りにそれなりの部分が見受けられるが、デザインがよくて元最上位機種ならではの所有感がある。そして、何よりコストパフォーマンスが良すぎる。これは最初にも述べたとおりだ。
K701が1万5千円ほどの価格で購入できるのは本当に驚きだが、音は大人しい感じの鳴り方なのでそこが問題か。この機種はクラシックとポップスに合うと評判だったけど、私は迫力がいるようなクラシック、打ち込みが多いポップスにはあまり合わないように感じた。それ以外のクラシック、ポップスには文句ない。
作り | デザイン | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ防止 |
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3 | 4.5 | 3.5 | 2 | 2 |
携帯性 | 音質 | 楽しさ |
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1 | 4.5 | 3 |
○メーカーホームページ:AKG
定価 | 購入日 | 購入店 | 状態 | 購入価格 |
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オープン | 2019/09/27 | サウンドハウス | 新品 | 14,904円 |
私の購入記録は上記のとおり。クレジットカード払いだったので、振込手数料などはかからなかった。現在、サウンドハウスは、1,500円以上の買い物で送料無料の上に代引き手数料も無料。
今回の買い物で、有効期限が30日間のSポイント(サウンドハウスのポイント)が1,490ポイントも付いたから、来月はジャズとロックに合うと評判のbeyerdynamic(ベイヤーダイナミック)のDT990 PROを捕獲しよう。
最安値は私の知る限りではサウンドハウスの新品14,904円。
※商品価格はいずれも税込表示。
現在、K7**シリーズのラインナップはいくつかあるが、K701の直接の後継機種はK702。仕様の違いは前述したとおり。
追記:現在、ヒビノから国内正規品のK701-Y3が発売されているけど、K701との仕様や音の違いは、ほとんどないと思う。価格はK701-Y3の方が国内正規品なのでやや高い。
追記:上述したように、私が購入した商品は中国製の定めか管理がやや行き届いていなかったが、本体は今のところ順調である。