DT990 PRO(beyerdynamic)のレビュー

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DT990 PROの画像

主な仕様
型式
開放ダイナミック型
ドライバー直径
周波数帯域
5~35,000Hz
最大許容入力
100mW
インピーダンス
250Ω
感度
96db
質量
270g(ケーブル含まず)
プラグ
ステレオミニ(金メッキ)
コード
3m(片出し)

ドイツのメーカー、beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)のDT990 PROは昔から名機だといわれていた。個性のある音でジャズやロックに合うのだと。本当はbeyerdynamicは初めてヘッドホン(密閉型)を開発したメーカーなので、DT990 PROのような開放型ヘッドホンではなく、密閉型ヘッドホンが欲しかったのだが、そういわれるとやっぱり気になる。

DT990 PROはとっくに生産終了していて市場から消えそうだし、ちょうどAKG(アーカーゲー)のK701を購入した際のサウンドハウスのポイントも残っていたから、このタイミングで捕獲することにした。

シリーズとしては開放型のDT990 PROのほかに、密閉型のDT770 PROがあるようだが、バージョンやインピーダンスが違うものもあり、どれが一連のシリーズなのかわかりにくい。私が購入したのはDT990 PROの250Ω版。

※DT990 PROには250Ω版のほかに、32Ω版もあるようだ。ちなみに、どちらもドイツ製。本当は私の現在の環境やレビューすることを考えると、32Ω版がよかったかもしれないが、もう250Ω版しか在庫がなかった。

程々の大きさの外箱に本体、キャリングポーチ、変換プラグ(ステレオミニ→ステレオ標準)、仕様書、保証規定書が入っている。

変換プラグは金メッキ処理されているもの。

保証書の保証期間はサウンドハウス保証が3年間。直輸入品ではない海外の商品には、基本的に国内輸入代理店(サウンドハウス)の保証が付く形だ。

外観

全体的になかなか良い。モニターヘッドホンをうたうだけあって黒一色で飾り気がないが、その分無骨で頑丈そうな印象。実際ハウジングは梨地の硬質そうなプラスチックでできているし、アームは金属でできているので、かなり耐久性が高そうだ。

デザインは好みの問題があるが、色使い含めやや悪い。アームの形が変わっているし、ハウジングが換気扇ぽくてかっこわるい。

調節機構は目盛りがないが、ロックがかかるタイプで、調節幅が簡単に変わることはない。ただ、使い始めたばかりだからか動きがあまり滑らかでないのが気になる。アームの付け根のパーツ裏にはさりげなく【MADE IN GERMANY】の文字。

ヘッドバンドは、人工皮革で覆われたクッションが巻き付けられているもの。ホックボタンでしっかりと固定された形になっている。パッドが付いているヘッドホンと比べても、装着感は遜色ない。

イヤーパッドはベロア調のフカフカした布製で柔らかい。肌触りは極上。このイヤーパッドの肌触りは、今までのベロア製で群を抜いて良い。その代わり、価格は1セットで4,000円ほどと高くなる。付いた油分は見えないので気にならないが、色が黒ではないので、使っているうちに段々汚れそう。

コードは片出し。カールコードで着脱はできない。長さ約3m、太さ約4mm。硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

プラグはステレオミニプラグ。金メッキ処理された標準的なもの。付属の変換プラグでステレオ標準プラグに変換できる。ねじ込み式。

装着感

かなり良い。イヤーパッドは、ベロア調のフカフカした布製で肌触りが非常に良いし、側圧も適度。重量は軽くも重くもなく、頭頂部もほとんど気にならない。

ハウジングの角度調節は上下左右にできる。イヤーパッドは耳全体を覆い、耳の上に乗ってくるが、イヤーパッドが高級なベロア製で非常にフカフカしているため気持ち良いぐらい。開放型なので遮音性、音漏れ防止はないに等しい。

環境:DS-DAC-10-SV(コルグ)のヘッドホン出力

音の傾向はドンシャリ。音自体はやや細め。高音、低音とも量はかなり多くてなかなか刺激がある。高音はややシャリつくか。低音は緩いが、深いところまで出る感じ。こもりはほとんど感じない。暗い音調で、声などの中音はやや引っ込み気味だが、他の音に埋もれずはっきり聴こえてくる。

音場は価格の割になかなか良いが、音がドンシャリ傾向のせいか楽器がやたら強調されて聴こえる。この辺りは好き嫌いがあるか。ボーカル主体より楽器主体の音楽の方が向いてそう。音の抜けは低音の量がかなり多いにもかかわらず良い。

基本性能、原音忠実性、質感は価格以上の価値がある。特に質感は艶やかさと温かみが十分な上に、繊細さも併せ持っていてなかなか魅力的。ただ、高音が細いのでサ行はやや刺さる。鮮やかさは音調が暗いのに、音がドンシャリ傾向だからか普通に鮮やか。厚みはかなりある。

ノリ、打ち込み表現はそれなり。低音の量感は文句ないが、音調が暗いし、低音の締まりとスピード感が足りない。楽器は高音がシャリつくせいでシンバルがややうるさい。弦楽器と管楽器においては、繊細さと力強さを両立していてかなり良い。

合う曲のジャンルはジャズ。世評が高かったロックは、個人的には上記が理由であまり合わないように感じた。まあ、ロックに求めるものが低音の量感だけなら、開放型ではこれ以上はなかなかないかもしれないが。音調が暗いのに、聴いていて楽しいという意味でも稀有な機種。コストパフォーマンスはかなり良い。

また、音量はインピーダンスが250Ωと高いため取りづらい。

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まとめ

DT990 PROの画像2

beyerdynamicのDT990 PROは、デザイン以外これといった欠点の見当たらない良いヘッドホンである。作りは頑丈そうだし、装着感も音も良い。ただ、音は楽器が強調されたような独特の音なので、購入するなら一度試聴してから買った方が良いだろう。

また、巷で言われているようにジャズとロックに合うかだが、私はジャズは概ね世評どおりだけど、ロックはあまり合わないように感じた。ロックを聴くにしては、低音の締まりとスピード感が足りないと思う。

しかし、これだけ音が暗いのに、聴いていて楽しいヘッドホンはなかなかないと思うので、このヘッドホンは捕獲しておくことをおすすめする。特に私のように複数のヘッドホンを使い回す人はなおさらである。

作り デザイン 装着感 遮音性 音漏れ防止
3.5 2.5 4 2 2
携帯性 音質 楽しさ
1.5 3.5 3.5

○メーカーホームページ:beyerdynamic

DT990 PROの購入記録と最安値

定価 購入日 購入店 状態 購入価格
オープン 2019/10/26 サウンドハウス 新品 12,441円

私の購入記録は上記のとおり。クレジットカード払いだったので、振込手数料などはかからなかった。現在、サウンドハウスは、1,500円以上の買い物で送料無料の上に代引き手数料も無料。よって、Sポイント(サウンドハウスのポイント)を1,490ポイント使用したことをあわせて実質10,951円。

SENNHEISER(ゼンハイザー)のHD595一台分ぐらいのお金で、AKG(アーカーゲー)のK701とこのヘッドホンが手に入った!

最安値は私の知る限りではサウンドハウスの新品12,210円。

※商品価格はいずれも税込表示。

その後

DT990 PROの後継機種は、DT1990 PROということになるようだが、価格が何倍も高いので、実質DT990 PROのアップグレード版である。

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